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「テロワージュ女川」イベントレポート 女川・海の恵み料理フェア in 小田急ホテルセンチュリーサザンタワー 20階 サザンタワーダイニング2024年8月21日

2024年8月8日(木)、東京都渋谷区の小田急ホテルセンチュリーサザンタワー20階にあるサザンタワーダイニング様にて開催されているイベント「女川・海の恵み料理フェア」について取材してきました。

前々回の「女川の食を楽しむ会in肴町匙」、前回の「GOTTSO ONAGAWA in ALMA」に続いて、イベント開催のきっかけや、女川食材の新たな魅力を引き出そうと、石川篤志料理長が考案したこだわりのメニューについてご紹介していきます。

 

小田急ホテルセンチュリーサザンタワー

 

女川町の海の幸の新たな魅力を楽しめる特別なイベント

海外からの訪日客も多く見られる、東京都渋谷区―。

JR新宿駅新南改札に隣接する遊歩道「新宿サザンテラス」の一角にある「小田急ホテルセンチュリーサザンタワー」。その20階「サザンタワーダイニング」では、都心を一望できる景観とオープンキッチンのライブ感と共に、素材にこだわったフレンチテイストの料理が楽しめます。

サザンタワーダイニング入口

8月1日から9月30日までの間、「サザンタワーダイニング」で「女川・海の恵み料理フェア」が開催されています。宮城県女川町の魚介を使った「海の幸だけ」のコース料理やア・ラ・カルトメニューを提供する特別な期間限定のイベントです。

 

小田急ホテルセンチュリーサザンタワーと女川町との新しい「絆」

2016年より、「小田急ホテルセンチュリーサザンタワー」は、料理やサービスを通じた継続的な復興支援で女川町との絆を深めてきました。「サザンタワーダイニング」など料飲施設を統括する石川篤志料理長もまた、幾度となく女川町を訪れていて、初めての訪問で「女川町復幸祭」に立ち会った折、「すごく元気だな」「逆にパワーをもらった」などの印象を住民の方々から受け、「一緒に力を合わせていろんな挑戦をしていきたい」と言う気持ちになったそうです。

サザンタワーダイニングの石川篤志料理長

2020年のコロナ禍でこれらの取り組みは一旦途切れます。ですが、2023年頃、再び女川町と一緒にイベントを開催する動きが出てきました。

それまではホテルスタッフが女川町を訪れてイベントを行っていたのを、震災から10年以上と言う事もあって、「(今までのような復興支援と言う形ではなく)逆に女川町から東京に来ていただいて、レストランで(女川食材を使った)食事をしてもらったり、ホテルに泊まってもらったり」する、「お互いにwin-win な形」のイベントにしようと言う話となり、装いも新たに今回の「女川・海の恵み料理フェア」が開催される運びとなりました。

 

フードロスにもつながる女川の隠された魅力を引き出す

料理長就任から5年以上になる石川料理長。「食を通じて、東京の食材の美味しさや魅力を発信したい」との想いから考案したと言う野菜のみのコース「東京野菜が主役のベジフルコース」は、提供開始の2021年8月31日(野菜の日)以降、看板メニューのひとつです。

女川食材を使ったメニューを考案するのに、野菜だけの「ベジフルコース」同様、「魚介類だけのコース」を提案。ただ、特産のサンマやホタテのような「メインとなるものが美味しいのは当たり前」で、それ以外の食材、例えば、近年獲れるようになったイワシや貝柱ではなくホタテの貝ひも、カキ養殖の網についてしまうムール貝など、通常二次加工されない食材や、食用として使われない食材の活用にもスポットを当てて、「(それらの食材の)魅力が隠されていると言うところを引き出しながら」コースを構成したと言います。

女川食材を使った「魚介類だけのフルコース」を調理する石川篤志料理長

 

女川町に何度も足を運び、漁港や朝市で生産者・加工業者の方々と話す中、「(女川には)やっぱりいろんな魅力があるな」と感じ、カキの養殖場でバケツ一杯のムール貝を見た時には、「それどうするんですか」と話しかけ、廃棄になると聞くや、「ぜひ使わせてもらいたい」と申し出たと言います。これらを使った「明日への希望 ブイヤベース」は、コース料理のメインディッシュです。

女川のムール貝を使った「明日への希望 ブイヤベース」

料理名の「明日への希望」は、女川町内のNPO団体の名称から。そしてまた「(文字通り)『明日への希望』を持てるような料理にしたい」と言う女川の未来へ向けた石川料理長の希望と想いが託されています。

 

「女川丼に似てるね」と思ってもらえるメニューを

「東京で女川フェアをやるのであれば、やっぱり『女川丼』をオマージュした料理を作りたいなと言う気持ちが最初からあった」と話す石川料理長。「女川丼」は「シーパルピア女川」にある「お魚いちば おかせい」の海鮮丼で、「すごく魅力のある女川を代表する名物料理」。石川料理長自身、「最初に女川に行った時、皆さんから『これは食べていってほしい』と言われて。行く度に必ず食べている」のだそうです。

その「女川丼」をオマージュした「女川 海の宝石パフェ」は、女川の魚介とお米の形のパスタをグラスに盛り付けた、見た目にもインパクトのある冷前菜。

「女川を知っている方が(イベントに)いらした時に、『ああ、女川丼ね』『これ、似てるね』と言う風に思ってもらいたい」。

「女川丼」をオマージュした「女川 海の宝石パフェ」

また、「女川丼」をオマージュしつつ「やっぱりインパクトを出したかったんですね。(もちろん食べておいしいんですけど)ただおいしいだけでなくて、そこで驚いてもらったりとか」と話す石川料理長。

「これからもっといろんな事に挑戦するぞ」と言う女川町の方々の印象にも合うと感じていて、「注文されたお客様の多くが、盛り付けだったりとか、上に付いてる骨の形のクッキーとかがあるのでやっぱり驚かれますよね。皆、写真を撮ってくれます」。

 

「女川・海の恵みコース」に込められたひとつのストーリー

「女川・海の恵み料理フェア」のコース料理「女川・海の恵みコース」では、「女川 海の宝石パフェ」、「帆立貝の鉄板焼き イクラのクリームソース」、「明日への希望 ブイヤベース」、「宮城の海の塩のミルクのジェラート」が提供されます。

「女川・海の恵み料理フェア」のコース料理「女川・海の恵みコース」

女川の魚介を使ったコース料理として、「女川の海のイメージだったり、塩ですとか、そう言ったものを組み込んでいきたい」、「(味的な部分でも)すごく脂ののった魚を食べるので、最終的に塩味でさっぱり終わらせたい」と言った観点からメニューを構成。

またコース料理には「あるストーリーが込められている」と明かす石川料理長。コースを締めくくるデザート「宮城の海の塩のミルクのジェラート」は、女川のイメージカラーのコバルトブルーから着想した「青空をイメージするようなジェラート」です。「バタフライピー」を用いた青いシロップが添えられ、それをかける事でストーリーが締めくくられる、そんなサプライズが仕掛けられていると語ります。

どのような驚きの物語が隠されているのか、ぜひご自身で確かめてみてください。

宮城の海の塩のミルクのジェラートには「バタフライピー」を用いた青いシロップが添えられている

この「バタフライピー」、実は東京都で収穫されたハーブ。

9月からア・ラ・カルトで提供される「宮城県産帆立貝の鉄板焼き バターナッツパンプキン」は「面白い形をしたカボチャ」だと話す、東京産バターナッツパンプキンが使われています。石川料理長曰く、「9月にすごくおいしくなる」そうで、女川のホタテとの相性も抜群なのだとか。

女川食材と東京野菜の組み合わせは、石川料理長ならではのもので、まさにこのイベント限定の特別料理でしょう。

 

おいしい料理で女川を知ってもらう

「サザンタワーダイニング」には海外のお客様も多く、日本に抱くイメージのひとつに「お魚がおいしいと言うのがある」と石川料理長は話します。「海外のお客様はお魚のメニューをご注文される事が多い」らしく、「ホテルとのつながりのある女川町の海産物をもっとアピールできないか」と思ったと言います。

それと同時に、「もちろんおいしく食べてもらって『女川のお魚っておいしいね』と知ってもらう事もありますし、復興の部分、被災された方ですとか、『日本で地震があってこう言う事があったんだ』と言う事を風化させないために、おいしい料理を通じて知っていただける事につながれば」。

女川食材の料理に仕上げのクリームソースをかける様子

女川の新たな魅力、イワシやムール貝に着目した理由も同様で、

「(人の口に入らない状態で利用されているが)すごくおいしいものなので、人が食べて『おいしい』と思ってもらって、女川と言うところを知ってもらい、今の天候不良とか、温暖化で今まで獲れていたサンマなどが獲れなくなって、(逆に)今まで獲れていなかったイワシが入ってくる、そう言った女川の抱えている問題を、料理を通じて知ってもらえるようになればいいな」と話します。

 

お客様も生産者も大切にする人柄

今回、石川料理長のお話をお聞きしましたが、「(ムール貝の話であれば)おいしい出汁が取れるし、身がとてもふっくらしているいいムール貝なので、人が食べて、なおかつおいしいと感じてもらいながら、フードロスの観点もそうですけど、(美味しく食べてもらう)そういった事で人が幸せになれるような形にしていきたい」、そしてメインディッシュ名「明日への希望」には「女川の未来への様々な想いを込めた」と言った話など、料理を食べるお客様だけでなく生産者の方々の事も大切にする、そんな石川料理長の人柄が感じられました。

お客様だけでなく生産者の方々の事も大切にする人柄が感じられた石川篤志料理長

味も見た目も驚きに満ちた料理で女川の海の幸を楽しめる「女川・海の恵み料理フェア」。

小田急ホテルセンチュリーサザンタワーと女川町との新しい絆で引き出された女川の隠れた魅力、そしてフードロスにもつながる料理の数々で、ぜひ女川の事をもっと知ってみてくださいね。

 

「女川・海の恵み料理フェア」でのキッチンと調理の様子

 

以前に開催した「テロワージュ女川」イベントレポートは以下のリンクからご覧ください。

「テロワージュ女川」イベントレポート 女川の食を楽しむ会 in 肴町匙

「テロワージュ女川」イベントレポート GOTTSO ONAGAWA in ALMA

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