NATORI名取
名取市は宮城県のほぼ中央に位置し、名取川・阿武隈川の両水系に囲まれた肥沃な土地が広がり、気候も温暖なため古くから農耕に適しているなど、自然条件に大変恵まれた土地柄です。また、仙台空港や国道４号線・東北新幹線・東北本線が縦貫していて、自然・歴史・近代が融合している魅力ある街です。
東日本大震災で大きな被害を受けた名取市閖上地区。地元事業者と応援者によって、まちの再興、閖上の商業の再建を目指した取り組みが推進されてきました。今後も数々の観光・レジャー施設が整備され、仙台空港を立地する宮城の玄関口として、さらなる発展が期待されるエリアです。
Key Personテロワージュを担う人々
文化の担い手として、
閖上の“力水”となる日本酒を。
名取川の恵みを受けて。
一級河川・名取川の河口に位置する、名取市閖上地区。当地で1871年に創業した佐々木酒造店の五代目蔵元・佐々木洋さんは「名取川の水はとても綺麗で水質も良いことが特徴で、それは大地と海の恵みを受けた“半農半漁”の歴史が証明しています」と話します。
名取市一帯には清廉な名取川の伏流水が流れており、その恵みは水が美しい地域でしか育たないと言われるセリの一大産地として知られていることからも明らか。奥羽山脈の源流から豊富な栄養を含みながら太平洋に注ぎ込こまれ特長的な漁場が生まれ、閖上港には新鮮な魚介類が水揚げされます。
この豊かな食材に恵まれた土地を、2011年東日本大震災の津波が襲いました。
有限会社佐々木酒造店 専務取締役 佐々木 洋氏
老舗酒蔵の5代目蔵元として、全体の統括を行う。
波の音が聞こえる場所。
「酒蔵の屋上から、社屋や町が津波に飲まれ沈んでいく光景を見つめていました」と振り返る佐々木さん。しかし、惨状を目の当たりにしながらも「波の音が聞こえるこの場所に、酒蔵を再建することを誓った」と語ります。その決意の根底にあったのは創業者である佐々木新助から伝わる「地酒は土地の文化の液体化」という精神でした。「日本は町の中心に酒蔵があり、地元の文化を育んできました。町の一部である酒蔵が失われれば、町の文化も失われてしまいます。我々が酒蔵を再建することで、閖上を活気づける力水になろうと考え、もう一度、140年をやり直そうという気概で立ち上がりました」。
震災の翌年には、仮設蔵が稼働。酒造りを行うには前例がないほど厳しい環境の中、全国の酒蔵や焼酎蔵から届けられた設備を活かし酒造りを続けること約7年。震災前とほぼ同じ場所に蔵を建設し、2019年10月より閖上での酒造りを再開しました。
酒蔵を代表する銘柄「宝船浪の音」。キレのあるのどご越しで、閖上の魚介と相性抜群。
産地で究極の美味を。
佐々木酒造店では名取川の伏流水を仕込み水に使用し、主に宮城県産米を原料にした酒造りに取り組んでいます。「特に私の代になってから、地元名取産のお米を使い、閖上の海の幸や地元食材に寄り添った地酒の在り方にこだわっています」と佐々木さん。
佐々木酒造店のお酒と地場産のお料理とのマリアージュを伺うと「温めた蒲鉾をわさび醤油にちょっとつけて頬張り、酒をキュッと飲む。また日本一と言われる閖上の赤貝の刺身と“純米酒閖”の相性も最高ですね。究極の美味しさは産地にあります。ぜひ、閖上で生産者の話を聞きながら地元の食と酒を楽しんでください」。
そして佐々木さんは現状に満足することなく、地域の未来を見据えています。「我々のお酒を通して、地元の農家や漁師、水産加工業の方々を結び付け、新たな価値や文化を築いていきたいです」。
- せり鍋
- 赤貝の土鍋ご飯
- 畳しらす 笹かま 土鍋七輪炙り
- 骨せんべいの天ぷら
有限会社佐々木酒造店
〒981-1213宮城県名取市閖上1-230-E10
Webhttp://housen-naminooto.com/
創業1871年の老舗造り酒屋。震災で建物が全壊。仮設蔵での7年を経て、2019年10月復興蔵を再建。
Partnersパートナーズ（連携協力店）
漁亭 浜や かわまちてらす閖上店
〒981-1213宮城県名取市閖上1丁目（E-65街区1画地）閖上漁港の新鮮な海鮮や、閖上北限しらすなどが味わえる。『かわまちてらす閖上』内にあり、爽快な景色を見ながら食事が楽しめる。
Café malta
〒981-1213 宮城県名取市閖上6丁目104-24-5Webhttps://cafemalta.miyagi.jp/
しらす屋さんが直営するカフェレストラン。自社製造の「釜揚げしらす」を始めとした新鮮なシーフードメニューが楽しめる。
